成果を出した直後に優秀社員が辞める理由と防ぎ方

成果の直後こそ、離職リスクが高まる

「大きな案件をやり切った」「過去最高の売上を作った」「昇進をつかんだ」。本来なら次の成長につながりそうなタイミングで、優秀な社員が急に退職を考え始めることがあります。海外のビジネスメディアでは、この現象を単なる待遇不満ではなく、達成後の心身の反動として捉える見方が注目されています。

日本の職場でも、期末の追い込み、システム刷新、営業目標の達成、管理職への昇格など、短期間に高い負荷がかかる場面は少なくありません。特に30代、40代の男性会社員は、家庭の支出や住宅ローン、教育費なども重なり、「休むより次を頑張る」を選びがちです。

海外で注目される「成功後のクラッシュ」

目標に向かって走っている間、人は緊張感や期待感によって集中力を保ちます。ところがゴールに到達すると、張り詰めていた状態が一気に緩み、気力が落ちることがあります。海外では、これを達成後の落ち込みやバーンアウトの一種として説明する議論が出ています。

会社側から見ると、本人は「やる気がなくなった」「次の仕事に乗ってこない」ように見えます。しかし実際には、能力や忠誠心の問題ではなく、長期間の高負荷から回復できていない可能性があります。ここで間を置かずに次の大型案件を任せると、本人の中では「また同じ消耗が続く」と感じ、転職活動に気持ちが傾きやすくなります。

日本男性が意識したいお金とキャリアの視点

優秀人材の退職は、会社にとって採用費や引き継ぎコストの問題です。一方、働く側にとっても、勢いで辞めることは家計リスクになります。年収が高い人ほど、生活費や固定費も膨らんでいるケースがあり、転職の空白期間や賞与の減少が家計に響くことがあります。

管理職やチームリーダーの立場なら、成果を出した人に報酬や評価を返すだけでなく、回復期間を設計することが重要です。プレイヤー側も「限界まで頑張れる自分」を過信せず、成功直後の疲労感をキャリア判断と切り分けて考える必要があります。

実生活でできる具体策

1. 成果後の予定を先に決める

大きなプロジェクトの終了後は、数日から数週間、会議や新規案件を詰め込みすぎない期間を作ります。有給休暇、代休、軽めの業務整理などをあらかじめ計画に入れておくと、休むことへの罪悪感が減ります。

2. 退職面談ではなく事前面談をする

「辞めたい」と言われてから話すのでは遅い場合があります。大型案件の完了から1カ月以内に、上司が本人の疲労度、次にやりたいこと、家庭面の負荷を確認するだけでも、離職の芽を早めに見つけやすくなります。

3. 評価と休息をセットにする

日本企業では、成果を出した人にさらに難しい仕事を任せる傾向があります。もちろん成長機会は大切ですが、表彰、昇給、賞与だけでなく、負荷を下げる期間をセットにする発想が必要です。

  • 大型案件後は最低限の回復期間を置く
  • 次の目標を本人だけでなく上司と再設定する
  • 疲労や睡眠不足を「根性不足」と扱わない
  • 家庭や家計への影響も含めて働き方を見直す

注意点:精神論にも診断ごっこにも寄せない

達成後の落ち込みは、誰にでも起こり得る反応です。ただし、不眠、強い不安、食欲低下、希死念慮などが続く場合は、産業医、心療内科、社内外の相談窓口につなぐことが大切です。上司が勝手に原因を決めつけたり、「休めば治る」と軽く扱ったりするのは避けるべきです。

また、待遇や人間関係の問題が本当に存在する場合もあります。すべてを心身の反動で説明せず、給与、評価、労働時間、キャリアパスも同時に点検する姿勢が欠かせません。

まとめ

優秀な人が辞めるのは、失敗した時だけではありません。むしろ、最も成果を出した直後に、心身の反動と次の負荷への不安から離職を考えることがあります。会社は「祝って終わり」ではなく、成功後の回復までをマネジメントに組み込むべきです。働く側も、大きな達成の直後ほど冷静に休み、家計とキャリアを見直す時間を持つことが、長く稼ぎ続けるための防衛策になります。


参考:Why Your Top Performers Quit Right After Their Biggest Wins (and How to Prevent It)

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